ピカソ美術館:Picaso Museum

 どの美術館も素晴らしかったが、とりわけ人が少なくてゆっくりと、そしてなんとも言えない温かい感覚に陥った美術館があった。それは、マレ地区にあるピカソ美術館だった。

 かなりシンプルな造りでありながら、光と温かさを感じるのは不思議なのだけれど、それはやっぱり「ピカソ美術館」だからだろうと思う。フランスにありながらスペインの太陽を感じるような。

 フランスでは珍しくない光景だろうけれど、小学校の生徒たちが授業の一括で来ていた。もー、なんというか、うらやましい環境であることは言うまでもない。こんな小さいうちから当たり前のようにこういう美術館に来るわけだから。

 この美術館は一部屋の展示作品数が少ないと思った。それだけにそれぞれの部屋の雰囲気、光の入り方、影、廊下や階段の作り、すべてひっくるめてアートだった。やっぱりスペインを思い起こすかな。

 祈りの部屋みたいな、部屋自体が作品という場所もある (写真下)。

多分、なんのこっちゃと思うだろう左の写真のような手すりまで、なんだか愛おしいというか、素敵、と思うのは私ののぼせ上りだろうか。

 でもやっぱりこだわって作っていると思う。エントランスや建物の一部は、もともとの作りのままだったのか、かなりパリっぽい雰囲気なのだけれど、この丸みとか、壁の感じとか、スペインというかピカソというか、この美術館はかなり好きと思った。

 そしてこれが彼の母国スペインではなくて、パリにあるというところが、やっぱりパリのすごい所と、またもや言及する。だって、こんなことある?と思うぐらい、世界の素晴らしい作品があちらこちらにかなりの設備と作品のケアをしながら保たれているわけである。

 

 この間、カルガリーのコンテンポラリーアートギャラリーの「舞台裏」みたいな無料のイベントがあって、キュレイター達が、作品が来るまで、そして作品の移動中や着いたとき、さらには展示してからのケアーなどを作品を回りながら伝えてくれるというのに参加したけれど、それはそれは大仕事だという感じだった。部屋の温度もその作品によって変えられるようにファシリティーは作られているのは言うまでもないけれど、なかなか尊敬できて、そしてまたやりがいのあるお仕事だなと思った。そうだよな、学芸員になるのは日本だって大変で、なった後もきっと大変にちがいない(かな?)。

 現代のコンテンポラリーも面白いアートなんだろうけれど、やっぱりピカソやマティスはまだまだ永遠のマエストロ。なんでこんなに人に好かれる素晴らしいアートを作れたんだろう。

 ちなみに、マレ地区というのはパリの中でもおしゃれ地区の一つだそうで、何でもないブランジェリーで食べたサンドイッチもおいしかった。ほんとは、いつも長蛇の列を作るというファラフェルサンドイッチの店があるというので、それを食べて見たかったけれど、E-Simカードの使い過ぎでこの日はインターネットのつながりがどこでもというわけにはいかなかった私は、ちょっと道案内人がいなくて不便だったため、行き当たりばったりで、そしてあまり気取りすぎない、席も一応ちょっとあるだけの、買って出ていくタイプのよくあるパン屋に入った。

 相変わらず、フランスパンのサンドウィッチって、口を大きく開けなきゃだし、硬くて口の中が痛いなと思って食べていたら、あとから来た地元の客だろうか、サンドウィッチを温めてもらっていた。温めるというのは、同時にサンドウィッチをプレスすることになる。すると、せんべいじゃないが、かなりぺしゃんこになって食べやすい。なるほど、こうやってオーダーすればいいのかと学んだわけである。

 一応、はやっている「Merci」というお店にも立ち寄ってお土産を買いに行ったが、高い、この店。だいたい、カナダドルが情けないせいで高いと感じるのはしょうがないとしても、ユーロで高いなと感じる店だった。あー、カナダドル。いや、その話はいつかまたにするとして。 

 また一週間💛