パリにはどのくらいの日本人がいるのかわからないけれど、おそらく相当いるほうだと思う。NYの日本人の人口は実はかなり多いいというのを何かで聞いたことがあるけれど、パリも負けないぐらいなのではと思う。が、やっぱりNYには劣るかな。
とにかく、フランス語が話せなくてもかなり英語で過ごせるし、日本人、またはアジア人街のような店が並ぶ通りがあったり、日本人経営のお店というのがあったり、フランス人経営でも日本の食べ物を作る店があったり、それからカルティエの大きな壁ポスターが北野武だったり、いくつかの建物が日本の建築家がかかわっていたり、行くことはできなかったけれど、近代美術館では日本の美術が来ていたり、パリには日本がいっぱいだった。
海外に来たら、グローバルを感じるよりその土地の独特性を感じたいと思うのはもちろんだけれど、自分の中では今のところ日本の食事や物、そして文化的所は一番と思っているので、こういうマーケット的なことも全く気にならず、むしろ個人的に大歓迎だった。そしてうわさには聞いていたが、レストランや町のあらゆる外国語のサインは今や日本語ではなく中国語か韓国語になっているというのは確かだった。けれどこういった日本の文化的なものがパリで目立つというのは、いいもの好きのパリジャンに認められている(利用されているという見解もあるかもしれないが)気がして、パリと日本、ジャポネズムの普及は根強いと勝手に思った。
そしてまた、フランスの「いいものを取り入れて世界一の都市を保つ」という姿勢というか、誇りというか、プライドを感じた。それは歴史的なことからで、なんといってもナポレオンが今の世界的に誇れる建物、都市計画、様々な芸術品の保持をしたのだと納得。セーヌ川の水の衛星さはさておき見事な景色だし、あらゆる建物はすてきだし、それから、パリのサービスもそんなに悪くなかった。
チップ制度がほとんどないのもいい。フランスでは最低賃金が12ユーロだそうだが、それは本当に最低の最低という話で、それよりはもうちょっともらっているのが普通という話を、姪っ子のフランス人の旦那さんが言っていた。12ユーロは現在カナダドルでは18ドル。カナダの最低賃金は15ドルになっているので、かなりいいほうだと思う。ちなみに、カナダはそれに輪をかけてチップ制度が止まらないから、レストランの支払いではパーセンテージを選んで支払うことが多い。その表示は今や16パーセントからになっていたり、チップまで値上がり。冗談じゃないぜ、と私は思う。
11月の中旬過ぎのパリは、比較的観光客も少ないと思う。人が多すぎという印象はほぼなかった。ほぼというのは、例えば、美術館のなかでも小さな部屋みたいなセクションが混雑するのはどうしてもある。でも全体的に建物が日本の比にならず大きい。高い天井、広々とした管内に、多くの素晴らし作品がいたるところにあるパリの美術館は、本当にすごいと思った。
パリのバスドライバーの多くが黒人だったけれど、NYの黒人のテンションとは違い、もうちょっと安定した生活があり、感じがいい気がした。(まあ、この短期間での経験では言い切れないけれど)。でも、これはダーリンも同感で、黒人との対立感とか、あのアメリカでの白人VS黒人のテンションみたいのはないと言っていた。 それからパリをイギリスはロンドンと比べると、イギリスはそれほど日本文化に興味がないというのが私の印象。だからやっぱりパリはどこか文化的なところで、日本好きなところがあると感じざるを得なかったのだけれど、間違いだろうか。
ああそれにしても都会はいい。私をいやすのは自然ではなくて、街の活気でありネオンだと確信する。あちこちにあるカフェ文化もいい。コーヒーは、ポルトガルやスペインのほうがおいしかった気がするが、カナダよりはおいしい。ちなみに私はおいしいパンとおいしくないパンの両方を経験した。事前にYoutubeで見て聞いていた「トラディッショナル」と「クラシック」のバゲッドの違い。これかまずいやつ、というのがすぐに分かった。
一人だし、そうそう毎回いいレストランやカフェに入ると言う事はできないし、お腹が満たされてちょっと座れればいい、という感じ。優先順位はクオリティーではなくて、便利さ、アベイラビリティー、そして、安さも入る。さすが、いろんなところが混んでいるのにここは人がいない、というところはやっぱりそれなりの理由があるようで、「あ、これはクラシカルだ」とすぐに分かる、おいしくないバケットのサンドイッチを食べた。
そういう店では、これまた違った客層がきて、それも面白い。普通に売っているバケットはトラディッショナルのようで、買いに来る客は結構いて、私が食べているパンとそのバケットは違うと見た眼でわかる。でも、その日の夕飯だか昼食だか、明らかに「今日の大事な食事」として買いに来ているような客に2人の黒人がいた。一人は女性で、かなり迷った挙句、一つサンドイッチを買う。別にホームレスほどのひどい身なりではなかったけれど、貧しいんだなという感じはあった。次に来たのは、黒人の男性。ポケットから小銭を出す前に、「いくらだ」と聞いて、店員が言った値段から「負けてくれ」とちょっぴりおどけながら交渉。自分の店でもないし、店員の女性はおれず、同じ値段を繰り返す。しぶしぶある小銭をポケットから出して買っていった。こんなやり取りも穏やかに見え、何かの映画を見ているような気がした。
とまあ、こんな私の庶民的なところを永遠話すのは何だから、一回だけ行った一人優雅なランチの写真でくくろう。ここは、ポンヌフという、パリの有名な橋のすぐそばにある、その名もカフェポンヌフだったと思うが、次に予約した教会の見学時間まで時間があったので、ゆっくりとランチをしてみた。
セーヌ川沿いの広々とした店内の店で、小雨の降る中窓際の席でゆっくりと一人ランチ。たまたま撮った写真だが、もろにアジア人が写っているので、まあ、パリと言わなければ東京にも見える。が、ここからのセーヌ川の向こう側の建物なんかはとっても美しい。 そういえば、パリは日本やスペインみたいな、昼食と夕食の間は閉まるというような時間帯がないと思った。2時にランチを取る人も珍しくないようだ。
ちなみにこのランチは、チキンサラダでカリカリのスライスされたバケットの上にはヤギのチーズがのっていてしかも溶けている。スパークリング水もおいしく、食後のコーヒーもグー❤ 一度だけの気取った一人レストラン。
この日だった。予約制とはいえ、偉く混んで長蛇の列を作っている、ノートラダム教会に近いある教会の見学をこの後したのだけれど、Youtubeでいつも見ている中村さんというパリのガイドの方に教会内で会ったのだった。彼は1組の日本人の方々を丁寧にツアー中だったが、事前にツアーのことなど問い合わせていたこともあり、一か八か話しかけてみた。とても明るく嫌な顔一つせず、一緒に写真をとってくれたのだった。
ちなみに、なぜこの教会がこんなに混んでいたかというと、その理由の一つに(私が思うにだけれど)、この日は多くの美術館が閉まっている日で、チョイスとして数少ない見どころの一つだったのだ。私みたいにミュージアムパスを購入していると、無駄にはしたくないのでできるだけ期間中になんでもいいから見ておきたい、と思うのが普通ではないだろうか。
まだまだこの場所に気持ちだけ行った気分になれるような、そんな余韻でいっぱいなのだけれど、今回のところはこの辺で。
また一週間💛