Vanvesという町で:At the Place of Vanves

 シャルル・ド・ゴール空港についてCitizenMという空港のホテルに泊まり、一夜明けてさあパリ市内へ、と待ちきれない思いで出発。まずは、AirB&Bにチェックインすることが最優先のリストだった。

 ホストとなるフランシスという女性から、長い長いメッセージが送られていた。空港からの行き方の詳細は今思うととても明確で良いアドバイスだったと思う。パリ市内は19区ぐらいまであるけれど、その、いわゆるパリ市内からはちょっと出る地域になるが、問題なく交通機関もたくさんのチョイスがあり、NYに例えるなら、マンハッタンではないけれどクイーンズエリア、みたいな感じ。空港からは1時間半ぐらいはかかるけれど、難なくスムーズにたどり着いた。もちろん、Googleマップは必須。

 迎えてくれたのは、ホスト自身ではなく、お手伝いをしているSuardという女性。名前を聞いただけでダーリン「もちろんモロッコ人」と即答。英語はあまりしゃべれないけれど、鍵の使い方や、「この部屋とこのエリアはあなたのもの、あとはプライベートで入ってはだめ」、ゴミはここ、などなど、別に言葉が分からなくても何とかなる事ばかりを実践や身振り手振りを踏まえて教えてくれて一件落着。私はさっさと荷物を置いて、外で待っているダーリンと一緒に、これから姪っ子とその2歳の娘と、彼女の義理の母親との待ち合わせ場所へ向かう。

 冒頭の写真はベランダからの眺め。小さいベッドがあり、私一人でのスペースとしては文句なしの部屋。11月後半で寒い週にあたったために、窓のシャッター見たいのを下ろさないで寝るのはとても寒く、やむを得ず真っ暗にして寝たが、思えば、日本もシャッターを閉めて寝るのが当たり前だった。カナダの生活に慣れていると、ブラインドだけで寝る習慣がついていたのだった。

 申し分ないロケーションと部屋だったが、事前に言い渡される「ルール」というものが、ものすごくたくさんで、ちょっとびっくり。とにかく、部屋を出るごとに電気は消せとか、シャワーはクイックに、体を洗ったりしている間は必ず水を止めろとか、トイレの水を節約するために、2回素早くフラッシュボタンを押すこととか(そうすると、紙は流れないのだけれど、それでいいそう)、とにかく節約することに関してたくさんのルール。洗濯機はお風呂場にあるのだけれど、どうやら使ってはいけないようで、リストから外されていた。

 ホストのプロフィールを見ると、「いろいろな国の人と会って触れ合う事の楽しみ」というのがこのビジネスを始めた動機の一つのようだったが、会ってみると、コミュニケーションを楽しむという感じは全くなく、私は、「鍋はこのスポンジで洗わないで。ネヴァー」と注意されたり、置手紙で「濡れたものをキッチンのテーブルには置かないで」とあったり。「Do not Touch」というノートがいろいろなところにはってあった。にもかかわらず、翌日、私がキッチンのテーブルに置いた、調味料とかその他もろもろ持ってきたものが、コンテイナーに勝手に入れられていた。私のものは勝手に触るのか、とちょっと思ったのだった。

  その夜、ダーリンが一応宿まで送ってくれて、彼はそのあと即、明日のフライトに備えるために空港のホテルへと帰った。ここからは一人の生活ねーなんて、ちょっとわくわくでビルの扉を開けてエレベーター5階へ。すると・・・・。何かが違う。渡されたカギでドアを開けようとしても、どうも鍵自体が違う。あれ?っと思って、他の部屋も開けようとする、もろ怪しい人になり、途中住人の夫婦が出てきてかなり不審に思われていたのは言うまでもない。ロビーは自分でボタンを押して明かりをつける様式になっていて、しばらくすると明かりは消えて文字道理真っ暗になる。その都度ボタンを押しては鍵を試すが、何度やっても違う。あわてて、ホストとお手伝いのSuardさんにメッセージを送る。20分ぐらい経って、Suardさんがエレベーターでやってきたのを見たときは本当に救われた思いだった。が、彼女としては、いい迷惑。私をエレベータに乗せ、一緒に一階まで降り、外に出て、ビルの番号を指さし、ここは66、あなたは104と指摘。なんと、アイデンティカルなビルが隣同士で、しかも同じ鍵で初めのドアが開いてしまうという。

 ホストの彼女が9時過ぎぐらいに帰ってきた。そして、夜の時間帯にはSuardには連絡を取らないでと説明された。「彼女は笑顔で何も言わないけれど、勤務時間外でのこういう仕事はやっぱり心の中では不満もあるからたまに見せるのよ」と。いや、あなたがすぐに返信してくれたら私も彼女にコンタクトする必要はなかったんだけど’・・・とも思ったが、ここは私が悪かったと、ひたすら謝った。こういう、出だしからちょっとおっちょこちょいの連発だったのかもしれない。我ながら。

 次の日、夜返ってきて、夜にシャワーを浴びるほうなので、さて浴びようと思うと、シーツなどの洗濯物がバスタブの上に干されていた。まだ濡れているようだし、勝手には外せないと思って彼女に聞く。シーンとした部屋で2人だし、彼女のいる居間の近くまでいって彼女を呼んで聞こえないはずはない。なのに、一発で返事をしてくれない。2、3回呼んでやっと、なんとなく仕方なさげに返事をしてきた。「シャワーを浴びたいのだけれど、洗濯物をはずしてもらえます?」と聞くと、えーっという感じで「朝浴びてもらえないかしら。洗濯物はまだ乾いてないの」と言われ、「うーん、じゃあ、今日はそうするけど、私、だいたい夜にシャワーを浴びるの」と言いたいことは言っておかないと私も頑張る。「あー、そうなのね。」という声をあげたが、なんで洗濯物を今日干さなくてはいけなくなったかとか、色々説明をしだす。了解、とこれにつてはとりあえず一件落着。

 次。ごみの仕分けで、コンポ―スト(生もの)のコンテイナーがあったので、そこに色々入れていたが、気づくとコンテイナーがない。キッチンそばでPC作業をしている彼女に聞こうと名前を呼ぶ。こんなに近くで聞こえないはずないのに、また2,3度呼んだ挙句に、低い声で返事だけ返ってきた。「コンポーストのコンテはどこでしょう?」ときくと、「外よ。」という。なんで、教えてくれなかったんだろう。

 もう一つ。ワンちゃんがいた。かわいいのだけれど、臭い。。。ずーと洗ってもらってないようだ。なつっこくて、触って触ってと甘い声を出したり、ちょっとドアを開けておくと、人恋しいのか、すぐに入って来たり、バスルームにも追いかけてくるのだけれど、清潔感がなくて、初めは撫でてあげたけど、どうもずっとは触ってあげれない。そしてある夜、このワンちゃんのいびきがうるさーくって、時差ボケもある私は寝れない。

 という、なんだかイヤーな雰囲気になっていた2日間で、このまま続いたら、出費覚悟でパリ市内のホテルに移ろう、とも思っていた。

 が、何人かのレビューで人々が書いているように、滞在中彼女は留守になった。ワンちゃんも、3羽のカナリヤもみんな連れて、私一人となったのだった。彼女はスーパーホストとしてマークされているけれど、たまにネガティブなコメントも本当に少数ではあるが、あるにはあった。同じカナダから来ていた若い男性は、この彼女のルールに耐えられず、もしくはコミュニケーションでも何かいやな思いをしたのか、すぐにほかのAirB&Bに変えて、もっといい気分で過ごしている、というコメントを残す。彼に対してのこのホストのコメントは「フレンドリーでなく、目も合わさない」という、やられればやり返す感じだった。

 何はともあれ、残りの日々を彼女やワンちゃんと一緒に過ごさないで済んだことは大きい。一件落着でよい滞在となったのだった。

 あ、セントラルヒートに慣れている私は、寒さだけがネックだったが、ユニクロのライトダウンが寝袋のように救ってくれた。

 そして、本当の最後の最後の夜だった。最終日は、空港のホテルに帰る前に、姪っ子の義理のお母さんの家に荷物をいったん預け、夕方までパリ市内でゆっくりし、あとは帰るだけ、と安どの寝床に入ってPC作業をしようとしたその時、床に置いたベッド際のガラスのランプを倒し、その瞬間、ガチャン、といとも簡単に割れた!!! えええええ!!!!えええええ!!!! と、この思い、今でも忘れない。

 即、ホストにメッセージを送る。「なんてことでしょう。問題は、もう明日新たなゲストが来るのに、買う時間がないわ。ベッド際にランプがあるのは便利さのためなのに。」と返事。もちろんお支払いしますとメーッセージをしたのだけれど、こう返ってきたら、言いようがない。一応、部屋にはいくつかのランプがあったので、それで代用はどうかとサジェストしたが、そのランプでは明かりが足りないとか言われた。

 数分経って、イケアのサイトの2つの候補のランプが送られてきて、安いほうを購入すると思う、とのメッセージ。こうなったら、高いほうのお値段で、この最後の災難を逃れるしかない。AirB&Bはそう言う事も承知のようで、「ホストにお金を送る」というコーナーあり、何かプロパティーを壊したときとかに使われている。すぐさまお金を送り、彼女も「多分もっと安い値段で買えるのに、正直に言ってくれたことと送金にありがとう」と、問題なく収まった。冷や汗。なんという夜だったか。

 と、これがまずAirB&Bで、久々一人旅行の経験。やっぱりまあまあ自炊もできて、それなりにお腹を満たすこともできたし、キャンプ経験などしない私にはわからないが、それに比べたらよっぽどいい環境で、それでいて、しっかり過ごせたなと思うのだった。年を取ってこういう経験もいいと思う。が、まあ、いつかは、いいホテルや、Bed&Breakfirst のような「ゲスト」扱いされるようなところで同じような旅ができるのもいいよなあ、と、気持ちを大事にしまう。

 全く余談ではあるが、カナダポスト(カナダの郵便局)がずっとストライキ中。ただでさえ、遅い、高い、という感じで、サービス悪いのに、ここにきて輪をかける。クリスマスカードは今年はちょっとおあずけ。。。

 また一週間💛