円安:Yen

 ずいぶん涼しい日々となっている。先週末ランチへ近くのバーレストランへ。もっと頻繁に外食があってもいいと思っているけれど、ホントにごくたまに行く感じなので貴重。あ、「ダーリンと二人で」という意味で。

 携帯電話を家に置いてきてしまったダーリンは、やることがないらしく、珍しく会話が続いた。英国での移民に対するライオットの話から、宗教の話へと移ったり、私達には珍しく、2時間近くその店にいた。いつもは食べてさっさと帰るのが普通。その時のトピックについて書こうと思っていたら、ずいぶん時間が経って何を書きたかったか忘れてしまった。

 というわけで、本日は、ものすごい円安のせいで、私の周りでも日本に行く、またすでに最近行って来た、というカナダ人は多いというところから始めたい。カナダ人の日本行だが、もともと行きたいと思っていて、今がチャンスと思って行ったという人はなんかうれしいが、カナダ人のプラクティカルな考えで、旅行に行くならお得なところへ、というカテゴリーに入ってしまっているだけなら、なんというか、残念さが正直ある。カルチャーに興味があるならまだしも、日本の製品(有名なアメリカ人の歌手のCDでさえも)がこちらで買うよりいいと言う事で、買い物目当ての人も少なくはないはず。多くのカナディアンの行先はカリビアン諸島かメキシコが多いのだけれど、今年は日本に行く人がかなり多いのではないかと思う。おそらく住んでいる日本人にとってはその観光客の多さにうんざりしているに違いないと思うのだけれど、どうだろう。

 ところで、カナダに移民してきたアジア人であれば、多少なりとも考え方が似ていると思った一件があった。それは、ロングタームケアの仕事場で、職員にふるまわれたフリーランチ会でのことだった。以前はそういうのに一切興味を示さなかった私だが、最近行動を改めて、せっかく上の職員たちが用意してくれたんだから、義理でも参加しようとテーブルに着いた。いつも仕事以外のことは話さないようなヘルスケアエード(多分日本ではヘルパーさんにあたる?)のフィリピン人の職員や白人のカナディアンなどが一緒に席についてちょっとでも会話ができるのはなかなか良かった。そして話は食べ物の話になった。

 なぜか私が、米はとても尊いもので、ご飯を残すというのはとてもいけないことと考えられていたから、今でも罪深く感じるという話を何かの関連で話していた。フィリピン人の職員の彼女は深く説明しなくても同感していて話が通じてうなずいていた。すると、白人カナディアンはびっくりして「ホントに?! 米ってチープなものだと思っていたよ。」と、全く異次元の視点だった。すぐさま別のカンナディアンが「今はチープではなくなったわ。すべての食べ物の値段が上がり過ぎよ。」と、痛感の声を出したが、ポイントは、食べ物を残すことに全く罪悪感を持たないジェネレーション、または資源の豊富な国の人々のいる文化、というところにあると思った。

 なぜ米が尊い物かをうまく説明できないから、あなたして、とフィリピンの職員に振られて、「えーっと、まず米を作るのには手間がすごくかかるってことと、やっぱり主食であるご飯は残すべきではない」と、ホントに突っ込みどころ満載の説明をすると、案の定「ご飯が主食なの?ホントに?」と私より年配の方からまたしてもポイントがずれてしまった質問を浴びる。

 フードピラミッドの一番下が炭水化物だった時代はもう古いかもしれないが、そうだった時代を忘れたか!と言いたいのと、主食と言っても、日本人の茶碗一杯でサーブされるのと、北米人の食べる量を比べれば、まったくつつましいものだ、という、少々攻撃的になってしまいそうな気持ちを抑えた。もちろん、特に嫌な雰囲気になる事もなく、フィリピンの食事はどんなものかというところにフォーカスした話で終わったので、問題はなかったのだけれど、カルチャーとは奥が深すぎると感じた。そんなことも知らずにアジアの国に旅行に行く北米人は日本ではどうよ、という思いがおごりながら積もるのだった。

 ジェネレーションと言えば、日系カナディアンの若い子たちの多いヒップホップのダンスクラスがある。フラメンコのクラスと同時に、隣り合った部屋で行われているこのヒップホップクラスなのだが、教えている講師を含め、かなり多くのアジア系、おそらく日系カナディアンの若者達がいる。スタジオに早く着いたある日、彼女たちが話しているのを聞いていると、”I am going to Japan”という声がまた聞こえる。いやー、多いよ。これで、日本の食事や何から何まで「安い」という印象が付くに違いない。質が良い、というところを忘れてほしくないけれど。

 それにしても、いつまで続くのだろう。いつまで日本は持続できるのだろう。この円安。カナダドルは米ドルと比べたら全く弱いのだけれど、それでも、多くのカナディアンが「今がチープ」というのだ。色々なことが変わっていくと思うこの頃。

 また一週間💛