帰国後の家:My Home

 日本から帰ってきて、なんて自分の家の環境が遅れているか、みたいな思いに駆られた。

 このアパートが建った時、規模は小さくも、いろいろわくわくはあったはず。壁のペンキを塗り替えたことも、新しいダイニングテーブルを買った時も、本当にいろいろ。で、比較してしまうと、あらゆるテクノロジー的なことがない。スローライフにはあこがれないし、しようと思わないのに、意外と効率悪くない?と思ったり、超マニュアルだわーこの暮らし、と帰国後特に思った。

 私は今回、妹家族の家に2泊した。一泊は成田に着いた当日で、もう一泊は帰国する日の前日。東京の下町に住む彼女の家からのほうが、空港に行くにはちょうど良かった。

 で、彼女の家は去年夏前ぐらいだったろうか、義理のご両親の持ちビルの上の階に引っ越し、リノベーションをした。外から見ると狭い東京の下町のビルなのだけれど、なんのなんの、中に入ればうまく空間を使いながらかなり大きい。キッチンも居間も部屋の数も収納の数も、この広いカナダにある狭い我がアパートに比べたら、うらやましいぐらい素敵だ。ちなみに、義理のご両親は妹家族の住む家に以前住んでいたのを譲って、下の階の部屋に移ったのだけれど、そちらも大きくリノベーションをし、義理のお母さまはなんと、お茶の先生の資格を取ってお茶室を作りお教室を営む。準備室から実際のお茶室まで、見事にこだわり素晴らしい。必ず私が来たときはお茶を入れてくれるのだけれど、今回はさっそく出来上がった素敵なお茶室で、本格的に入れていただいたお茶を出してくれたのだった。まー素敵なご家柄に嫁に行った妹よ。

 話を元に戻す。妹の家は、すべてにおいてテクノロジーを感じた。お風呂はもとより、玄関や廊下の電気は全部センサー。どの水道もこれまたセンサーで、はじめどうやって水が出るのかわからなかった。床張りなので、掃除機は自動の円盤みたいなものが勝手に掃除。キッチンの戸棚の工夫は最高。うちはいちいちしゃがんで奥のものを取り出すために手前のものを一度出したり、脚立に載って上の棚のものを出したりと、アクションの回数が多いのだけれど、妹のキッチンの戸棚はすべて引き出し式で、高い収納の棚は、ひっぱると自然に降りてくるようなシステム。あらー、便利。

 もちろん、このような家をカルガリーで見たこともある。だから、日本対カナダというよりは、本当に我が家の問題なのだけれど、帰国後ちょっとの間、この家に住んでいることがまるで価値のなくなった古い服を着ているような気分になったのだった。そんな服に、いくら装飾をつけ足しても無駄だという感覚。

 そして最近またそのような感覚も鈍くなり、少なくても、何の自慢のできない家と言う事で謙虚になることはできるかなと、ポジティブ精神がもどった。こんな家でも、自分がインスパイアされるように、目で見て美しいと思うようなデコレーションを、多少なりとも楽しんでやるしかないわけで。たった一つ、この家の救いがあると思っているのは、自分では作れない窓からの美しい景色がある。幸運なことに、家の前にビルが建っちゃった、とか、道路ができちゃったというようなことは今のところなく、窓の外は美しい木々。遠くにはロッキー山脈。まあ、いいとしよう。

 なんだか6月というのに帰国してからずっと本当に寒い日々が続いていたのだけれど、やっと今週末から20度入ってくれる感じ。なんていっても最近まで近所のカウンティ―では雪まで降っていた。遠くに見える山頂もまだまだ白い。ちょっとしたウールのカーディガンやフリースのジャケットなんかもなかなか手放せないのであった。今年は夏は短いというか、夏らしい日々は少ないかも。

 また一週間💛