帰郷#2:Back to Japan #2

 日本に帰ると、カナダでは手に入らない必需品がいっぱいで、ほしい物はいっぱいなのは言うまでもない。

 それとは別に、これは必需品ではないけれど、日本ならではだから買ってみたいな、というものもあった。それが、ヴィンテージの物だった。いまやYoutubeのおかげで、お勧めのヴィンテージショップという投稿が助けてくれて、目星をつけて行って見た。

 ヴィンテージに関しては、日本がナンバーワンと何かで紹介されたようで、需要も多ければ、そういう店も多く品ぞろえがいい。それと、管理が他国のヴィンテージショップに比べてかなりいい、というところだろう。私は服は新しものが好きなほうだけれど、アクセサリーなんかでいいものがあったらいいな、と思っていた。

 今回はカナダ在住の日本人の友人が教えたくれたAiraloという、Simカードのいらないインターネット接続のアプリを教えてもらったおかげで、かなりの安価で携帯でどこでもインターネットが使えた。さっそくグーグルマップでセッティングをして、何とか一軒たどり着いた。ViniViniというお店。

 Youtubeで紹介されていたのから想像していたよりかなり小さなお店。お店のお姉さんにも言われたが、ヴィンテージが初めてだったら、アクセサリーから入るのが一番だと思います、と。しかしやっぱりヴィンテージというのは、「出会いが大事」で、出会わないこともある。悩んでいると、「もう一つ同じ系列の店があるんですけど行きましたか?」といわれ、ちょうど数ブロック歩いたところにあるあら、そっちにはもうちょっとアクセサリーがあるから行って見たらと勧められて、そうすることにした。

 着いて、迎えてくれたのがまたしてもおしゃれでかわいいお姉さん。とってもお話上手で、二人っきりでも威圧感も感じさせない、キャピっとしたところのある女性だった。ほしいものと出会っても出会わなくても、まあこの方とのおしゃべりを楽しめればいいか、と思い、私はソファーに座ってアクセサリーを眺めながらお話。結局初対面なのに、いろんなことを話して、最後は名前まで聞いて「絶対忘れません!」なんて言ってもらって、帰ることになる。

 なんといっても、このお仕事が楽しくてしょうがないという感じが出ているのがものすごくよかった。もともと医療系の勉強をしていて、作業療法士の資格を取ったらしいのだけれど、ファッションが好きで、こちらの道に入ったと言う事だった。平日の午後だったので、ちらっと一人外国人のお客が入ってきて、すぐに出たぐらいで、本当に貸し切りでおしゃべりに花が咲いていたのだが、こないだはこの狭い空間に、10人ぐらいお客さんが来てこみこみだったそうだ。

 この日、私は先日行ったマティス展のお土産ショップで買った手提げ袋を持っていた。なんてことはなく、必要に駆られて買ったので、買った先から使っていたぐらいだった。シンプルで木が描かれているだけだから、言わなければマティスの絵とわからないぐらいだと思っていた。すると二人ともそれに気づき、先に行ったお店では「あ、マティスですよね、それ」といわれ、こちらのお店でも「マティス展いったんですねー」と言われる。服だけでなく、アート全般に関しても関心が高いことに感心する。おしゃれな方はすてきだなあと、改めて思ったのだった。ちなみに、この手提げ袋は、帰ってきてからすぐ洗ってしまい、縮んだ挙句にパリパリのノリも取れてしまって、アイロンをしてもしわが取れずに、ちょっと様子が変わってしまったのだけれど・・・。

 結局、すごくほしいと思うものには出会えなかったのだけれど、一つ、このお店のお姉さん(小夏ちゃんといって「リトルサマーです」とおしえてくれた)を思い出す一品をと思い、ぜーんぜん値段も張らない、ブローチを買った。これは、クリップ式になっているから穴を開けずに、それこそ今持っているサブバックにちょこっとつけてあげてもかわいいですよ、と教えてくれたものだ。なくすのが怖くてバックに付けることはすぐにはしないと思うけれど。

  素敵な出会いだったけれど、なんとなくヴィンテージは私にはハイレベルなおしゃれかも、と思い、結局この店が最後のヴィンテージめぐりとなった。また一週間💛