お気に召すまま:As You Like It

 「As You Like It-お気に召すまま」というシェイクスピアの喜劇を現代風にして、しかもビートルズの名曲に合わせるというミュージカルを見に行った。

 ミュージカルはあまり好みではないのだけれど、年末に見た「クリスマスキャロル」の舞台装置は素晴らしく純粋に楽しめたし、意外といけるかもと思ってチャレンジ。しかもシェイクスピアの物語を基本としながら、なじみ深いビートルズの歌曲だから、きっときっと大丈夫、とまたしても日曜のマチネを一人で。

 結論から言うと、まあまあよかった、星10個のうち7かな、というところ(あくまでも個人的感想)。音楽を演奏するバンドメンバーも役者さんで、歌もみんなとても素敵だったし、プロだなーと思わせてくれる。なるほどと思ったのは、ものすごく現代版にリメークしながらも、しゃべる言葉はシェイクスピア語。はじめから終わりまでコメディーだった。個性あふれる役者さんたちがその役になり切って、一人2,3役をこなしているのも見ごたえがあったし、いろんな体系、年齢で全身全霊で演じている姿を見るのはやっぱり感動する。幸いにも前から5列目ぐらいの席で見れたのもよかった。

 冒頭の写真は、舞台が始まる前にスペシャルエンターテイメントがついている日があり、その一場面。このあとレスリングが始まり、多少本編とつながっている感じで、でも、この時は撮影も許される感じの、一応別物としてのエンターテイメントだったが、なくてもよかったかな。と思った。

 私が気になったのは舞台芸術のほうで、写真のような3枠で囲まれて、この枠の色が変わりながら、舞台の風景も何度か変わっていた。ただこの枠がなんだか舞台を狭く見せているように感じた。もっとのびのびシェイクスピアの舞台のようにしてもよかったのでは、と思ったのだった。そしてやっぱりミュージカルじゃなくて、普通の劇のほうが好きかなと確信する。

 

 これもクライアントGにまつわる話なのだけれど、Gがロンドンに滞在していた先月の1か月中、ブロードウェイミュージカルのコメディーを見に行ったという。ロンドンのチケットは普通に高くて、2人分で200ポンド以上はする。G曰く、「確信したわ。もう二度とコメディーのミュージカルは見に行かないって。だいたい笑えないのよ。どうしたらいいかわからないくらい。それで、半分も見ないうちに私達は退出しちゃった」と。

 気持ちはわかる。上階バルコニー横の席に座っている人たちをたまにちらちら見ていたのだけれど、わざとらしいコメディーはどう反応したらいいか困っていた。私も実は、エンターテイメントを含めた初めのほうはこっくり舟をこぎそうになっていた。

 しかし、意外と最後まで居座って見てみると、その最後が一番感動する。フィナーレまでよく演じたみんなの安堵も感じるし、よくやったとなぜか涙が出るし、上から何かしらひらひら舞っている紙吹雪みたいなものが輪をかけて美しい。幾多のリハーサルを経て、毎日毎晩演じて、みんな講演のために一丸となって物を作っているという感じがやっぱりいい。

 この日、元カルガリー市長だった、Nenshiさんが、なんと私の席の二席横に座ていた。彼はモスラムでインド系のタンザニア市民の両親を持ち、カナダのトロントで生まれている。何かとコンサバティブと言われているこのアルバータ州の一大都市で、クリスチャンでもない彼が市長に選ばれていると言う事だけでもちょっと珍しいと思うのだけれど、気になるのは、ちょっと太目。いやかなり。まあ、とにかく、ポリティシャンがスポーツではなくアートを支援する姿はなんかいい。さっそくGにテキストを送ると、「Big Fat Slob(だらしないおデブ)。全然好きじゃないの。」と返ってきた。ひえー。わすれていたが、ポリティカルなことになると、G夫妻はかなりの右だった。「あら、忘れてたわ」ととぼけてテキストを返す。「問題ないわ」と返ってきた。

 この舞台に一応Gにも声をかけて見て、Gがあっさり断ったので、それこそ問題なく一人でゆっくり堪能できたわけだが、ほんとにGが来なくてよかったと思ったのは言うまでもない。

 また一週間💛