フラメンコパフォーマンス:Flamenco Peformance

 去年の12月初め、夏から参加しはじめたフラメンコ教室の生徒パフォーマンスがあった。写真はリハーサル。

 パフォーマンスをしたくて習い始めたわけでもなく、ましてやパフォーマンスなんてレベルでは全く持って達していないので、私なんかが出てどうする、と思っていたし、いや絶対あり得ないと思っていた。というわけで、Palmasという、よくフラメンコで見る手拍子の5分もないぐらいのパフォーマンスに参加することになった。といっても、これまた、私はベースのリズムをすかさずたたいているだけ。

 ただ、この間のポルトガル旅行で一日スペインに行ってフラメンコに必要な靴、およびスカートなんかはとりあえず買ったので、フラメンコっぽくはなるかなと思って、半ばやっぱり楽しむしかないと、久々にパフォーマンスアートの経験をしていた。

 何よりこの準備段階が楽しい。とても懐かしい気分で、そしてまたこういうアート、仲間、空間、時間を味わえることが何よりのご賞味だと思う。仕事とは全く関係のない出会いで、フラメンコ仲間というのができたのもうれしい。

 日本人はフラメンコがとても好きだから、驚くことなかれ、ここでも一人10年ぐらいやっているという日本人の生徒さんがいて知り合った。彼女とは先週食事に初めて行っていろいろなお話をすることができた。なんと、彼女ははじめBC(ブリティッシュコロンビア州)にいて、そこで初めて教わることになったフラメンコは日本人の講師だという。というよりも、日本人の方と知り合って、たまたまその方がフラメンコを教えていると言う事で誘われたのがきっかけだという。日本人はどうしてこんなにもほかの文化のことが好きで、しかも上手で、広いファンが世界中にいるのだろう。人口が多いと言う事も関係あるかもしれないが、それだけではないだろう。ダンスとかアートかにかかわる余裕があるともいえる。一般人でも楽しめるような環境を作っているともいえる。まだまだ勉強不足だけれど、そのルートやアートが公共になじみ深いものとなっている背景は興味深い。

 それから、この食事会で私の大きな勘違いを発見する。講師のAnastassiia(アナスタシア)は、メキシコ人と思っていた。まず、ラティーノっぽい顔つきといえばそう言えるし、スペイン語は全くネイティブっぽいし、お母さんがメキシコから遊びに来ているから、空港までピックアップしなくてはならないとか言って、ある日クラスに来なかったりしたからだ。けれど、あれ、と思ったことがあった。ある日パフォーマンスを見に行ったとき、彼女のお母さんが私の隣に座っていた。彼女がマイクでその日の観客を紹介するまで気付かなかったわけは、そのお母さんなる人が金髪の白人の女性だったためだった。なんと、アナスタシアはロシア生まれのロシア人だったことを知ったのだった。別に何人でもいいわけだけれど、自分の偏見と勝手な思い込みにはいつも驚く。

 それから、現在取っているクラスのクラスメートの一人は、以前シルバンレークに住んでいて、私がいた時期に彼女もシルバンレークにいたという。しかも二人に共通した友人も知ったのだった。そしてなんと、彼女が現在携わっている仕事場が、一度学校の授業の一環で私も訪れたことがある場所だった。つまり、職場としては似ているカテゴリーの場所。彼女の役割はその施設のファンドレイジングに携わっていると言う事だった。(写真下一番右が彼女)

日本人の生徒さんをYさんとここではしておこう。Yさんと話しながら同じ共感を持っていたことがあった。それは、まだ生徒数の少ないこのフラメンコ教室が、それゆえにと言っていいのかわからないけれど、すべてがサポートしあっていて、ミュージシャンとも講師とも生徒同士でも、距離が近くみんな温かい雰囲気があると言う事だった。クラスでは冒頭の写真に出ているギターリストが来て、練習しながらダンスに合わせてくれる。彼はガンの手術医で今は引退したのか趣味でギターをやっているようだ。その横にいるのは奥さんで、ダンスはもちろんのこと、今度は歌にも挑戦しているようで、同じくビギナーズのクラスでギターの横に並んで練習も兼ねて歌ってくれる。Yさん曰く、以前トロントにいたときに取っていたフラメンコのクラスは、よくある都会のダンスクラスのように、大勢の生徒に交じってクラスを取り、終わったらさようなら、というだけの、特に一緒に何かやっているという感覚のない、あっさりした感じがあったということだ。そういう面ではこのアートやカルチャーがまだまだ発展途上のカルガリーでかなりプラス点だと同感。とはいえ、講師にしたらもっと大勢の生徒を一度に教えないと生活が潤わないだろうなあと、お互いちょっと気になるところだった。

 それにしても、RomeoDistillというラム酒を作っているバーレストランでパフォーマンスがあり、観客の距離が近く、夜な夜な隠れ家のように行われている雰囲気はたまらない。このレストランは、サポーター兼ダンサー兼パフォーマー兼たまに講師も代理でするJudithの家族が営んでいて、もともとミュージシャンを呼んでいたこともあり、Anastassiiaにここでフラメンコの夜を作ったらどうかと提案したというのが始まりらしい。このような雰囲気のフラメンコパフォーマンスはスペインのセビリアでもあるにはあるかもしれないが、多くはショウビジネスとして劇場になると思う。もちろん道端でたまに見れると言う事もあるかもしれないが。ちなみに、同じスペインでもコルドバではこのように、洞穴のような雰囲気満載のバーレストランみたいなところでフラメンコが見れるそうだ。

 3月にふたたび生徒によるパフォーマンスがあり、それに向けてのお稽古になっている今日この頃。幸い、私がかかわるのはおそらくまたPalmasか、今やっているSevillanasという、いわゆるみんな踊れるスペインのフォークダンスみたいな物になる。このSevillanasは誰でもできる感じなので、とても楽しいと思う。もともとコートダンスだったということで、どこか礼儀がある感じなのである。老いも若きも中年も、ま、楽しみませう。

また一週間💛