旅ログ#8モロッコ:Travel Blog#8Morroco

 2024年も続けてみようと思うこのブログ。どうぞお付き合いくださいませ❤ 冒頭はまだ旅の続き。モロッコはマラケッシュ郊外。義理の弟にあたるモスが今情熱をもって営んでいるファームランドへ、やっぱり義理の弟である(末っ子)シモンの車に乗せてもらって訪れたときの光景。

 弟、通称モス、は、アイルランドに住んでいてIT関係の仕事をしているのだけれど、健康上の訳あって休暇を取ったりしている。その間、アイルランドからモロッコに飛ぶRyan航空(格安)でちゃちゃっとモロッコへよく来る。彼の頭には今沢山のアイディアがあるらしく、その一つがモロッコでファームランドを始めて、第二の人生を送ると言う事らしい。もともとロンドンにいた彼だけれど、リーマンショック辺りにいろいろあって、それから仕事と家庭にとにかくいろいろな変化があり、今に至っている。けれど、男性の独身というのは、生活力さえあればなんて良い物かと思う。普通に家族がいても養えるほどの給料を払ってくれる仕事に就き、その上独身となれば好きなことをし放題。ないのは嫁だけなんて嘆かず、思う存分楽しんだらいいと思う。もちろん大変な時期は本当に大変で、ある意味落ちるところまで落ちたといっても過言でもない彼だったと思う。何はともあれ、現在は文字どおり、人生を楽しんでいるように見える。車は持たず、モーターバイクでヨーロッパのいろんな場所を回ったり、VIPと呼ばれる超常連しか入れない部屋があるアイルランドのバーでは、そのメンバーで顔パス。そして今度はこのファームランド。

 

 去年から実際に始めたファームランドは、周囲の家族誰もが期待をしていなかっただけに(と、これは言い過ぎではなく本当なのだけれど)、かなり驚きの、素晴らしい発展に至っていたのだった。


 目的地に近づくと、上の写真のようにヤギの群れが車に向かって来た。こういうの、カナダでもあるけれど、カナダだと何度遭遇してもうれしい遭遇というか、なんとなくみんな喜んでほほえましく見守る光景がよくあるのだけれど、モロッコだと、なんというか、当たり前のような光景に見えて、ただただ通り過ぎるのをお待ちするだけ、という、彼らと一体の生活をより感じる。それにしても、遠くにうっすら見えているアトラス山脈はいつも素晴らしい💛


 さて着いた。入り口ではコンクリートのブロックを積み立てているワーカーが3人、せっせと働き、彼らのミュールが一頭木につながれていた。奥から出てきたモスがご自慢の敷地内を案内してくれる。ここに見えるすべてのオリーブの木が彼の所有地での収穫となる。すでにこの年も、地方の学生などを短期のアルバイトとして迎えてすべてのオリーブの収穫が終わたのだという。所々にどうやって水を引こうかという工夫がされていて、オリーブの木以外に野菜などを植えていた。このようなことを手伝っているのは、前回のブログでちょっとふれたが、ミネソタに住む一人の甥っ子(飛行機に乗り遅れて式に出席できなかった人)である。彼は農業を専門として博士号を取っており、ミネソタ州の農林水産省で働く。よって、肥料とか水のこととかは彼の専門となるところのようだ。


 広い農場の奥に、まだ発展途上だという彼が住む「家」がある。こちらはまだ水道が通っていないと言う事で、すべて飲み水や料理の水などはペットボトル。火も、外でバーべキューみたいにする以外は室内では使えない。寝床も、地べたに何層にも重ねた布の上にごろっと寝ていて、ガラスというのはないから、虫が入ってきそうだなと思った。が、かなりワイルドになったモスを見て、彼なら今のところ大丈夫そうと思った。今でこそ発展途上なわけだけれど、ちゃんと完成すれば、かなり素敵な住み家となることだろう。

 


 この日は太陽がさんさんとしていて、私でも暑いと思った。モロッコに来るや否や、サングラスは壊れ、帽子など持ってきていなかったので、ちょっと辛いファーム見学となったが、それよりもこの素晴らしい計画と成果と、そして美しいオリーブの木々たちや風景に圧倒されていた。

 モスのファームランドのお隣が、またほれぼれするお屋敷(?)なので、外側からぐるりとお隣さん見学をすることになった。それは、あるお金持ちのイタリア人がオーナーで、リゾート地化してゲストハウスとして存在しているようだ。モスは、それを見て同じようなことをしようと試みているのだそう。


 なんともいえない趣味の良さとか、アーティザンチックな壁の作り方(写真下:その隙間を枯れ木で埋めるという粋なテイスト)なんかは可なりいい雰囲気。とはいえ、これはメインテナンスが大変だそうだが。それから、ちらちら見えるそれぞれ用途の違う部屋や建物がさすがだった。

 とにかく、写真でどれだけ素晴らしいか伝わっているかわかり難いが、あっぱれな美さでいうことなしのまさにリゾートなのであった。

 リモートワークが可能なビジネスマンや、普段忙しくて、ゆっくりしたいハイレベルの仕事をする(ハイクラスの)人々が、ひっそりとモロッコに来て気分転換というにはちょうどいい。きっと現地人を雇って、町からかなり離れているこの場所で不便のないように工夫はされているのだろう。


 上の写真は分かりずらいと思うけれど、小さな窓から見える左側はベッドルーム、右側は書斎のようで、これまたちらっと置かれた小物や実用品が素敵だった。中はさぞかし素敵なんだろう。

 ファームランドの見学中、どこともなく一匹の犬が後をついて来ていた。はじめはこのお屋敷の守護犬かと思ったが、あとで野良犬だと知る。必ずかなりの距離を私達と取っていて、こっちが近寄るとあっちに逃げる。そのうち子犬もついてきた。ところが、この子犬、ガリガリに痩せている。モスの家に戻ったとき、入れ物に水を入れて与えてみた。近寄るとかなり警戒して逃げて寄ってこないので、とりあえず水を置いて私が遠ざかる。親犬も心配して2,3メートル離れたところからじっと私の行動を見ていた。「水を飲んで」と、じっと辛抱強く遠くから見ていると、恐る恐るやってきて、ぺろぺろとちょっと飲み始めた。しばらくしてその体力もないのか、しゃがみ込んでしまった。


 モスが「あの子犬、死にかけちゃっているだろ。食べ物あげても食べないんだ」という。野良犬がいない日本、そしてカナダでも見ないのは、見る人がいて収容所にちゃんと連れて行っているか、地方では誰かが面倒を見たりしていると言う事もあるかもしれない。モロッコではたくさんいすぎて、野良もこの暑さではいろいろ大変だろうなあと思う。

 なぜか木の間にできたスイカ(上写真)なんだそう。かわいい。


 それにしても、オリーブ。素敵だなー。今年もダーリンは里帰りするだろうから、その時またどれだけ発展したか、写真で送ってもらおうと思っている。とても楽しみ。

 この日、遅めのランチとなったが両親のお宅に行き、みんなでランチ。モスはバイクで私達よりも数倍速く着いたらしく、すでに飲みに行って帰ってきた。お手伝いさんが作ってくれたビーフとあまり知らない果物と野菜の合いの子のようなディッシュに、いつもの小皿のおかずと丸いパン。小皿のものとパンだけでも食欲は満たされるぐらい、私は小皿ファン。いつもおいしいお料理をいただき、お腹も心も大変満足の毎日。会話だけは味わえないものの、今回の滞在ではそんなことも苦痛と思わないぐらい図々しくなっていた自分だった。

 また一週間💛