旅ログ#7モロッコ:Travel Blog#7Morocco

 写真に見えるはイブ・サンローランのミュージアム。こんな風に、宿から出るとすぐ見えるという、ロケーションの結構いい所に、甥っ子の営むAirB&Bがある。ここへ2泊した。

 マラケッシュの空港に着いたのはフライトの遅れで午前12時を回ったころだった。オーナーの甥っ子もミネソタ州から飛んで同じ日についているはずだったが、迎えに来たダーリンの弟さんに聞くと、彼はフライトに乗りそびれて2日後に着くことになったという。翌朝予定している結婚式にはやむをえず欠席と言う事だった。

 当日式は午後3時ごろからということで、思ったより遅く助かった。向かったのはマラケッシュ郊外にあるO'Atlasというホテル会場。アトラス山脈を見渡せる、素晴らしい会場で、地元の人より、外国人のほうが知っているという場所だった。

 まずはお庭にて式が行われた。アメリカはやっぱりミネソタ州に住んでいる、ダーリンの一番上のお兄さんの息子さんとアメリカ人のお嫁さん。モロッコに精通しているアメリカ人の友人仲間と、とても良い関係でこの式が計画されていて、持つべきものはよき仲間という感じだった。指輪の交換からクリスチャン的な”Yes I do”みたいな誓いを行う。それを信仰するのは神父さんではなく、例の友人。これも自分たちで企画したっぽくて楽しそうだった。

 それが終わると、ホテルの建物内にみななぞろぞろと入っていき、屋上でのちょっとしたリセプションを楽しむ。

 広い屋上からは見事な景色。ミュージシャンがライブで演奏。バーがあり、ちょっとした前菜を歩き回ってサービスしている男性コンパニオン達。そうそう、前回も思ったけれど、サーバーは決まって男性である。ただ、ここではバーカウンターやその他の従業員で若くて英語も堪能な女性たちが働いていたのは新鮮だった。明らかにモロッコ人ではなかったけれど。

 とにかく、勝手に楽しんで―という雰囲気がいい。


 あとからあとからぞろぞろ来るのはすべて新郎側のモロッコの親せき達。お祝いに来ているのかただ楽しみに来ているのかわからないぐらい陽気でにぎやかだった。姪っ子のシャーマは、もう誰が誰だかわからないのだけれど取り合えずみんなに挨拶をしてくるわと、トルコ人の旦那様を連れて席を回る。両ほほにキスをするのが習わしなのだけれど、その時にみんな彼女の頭を触るそうで、まじめに髪の毛がくちゃくちゃになってしまったと嘆いて心配していた。シャーマの妹のサルマはこの式の計画者の一人でもあって、ドンと構えた頼もしい女性なのだけれど、シャーマとちがって、「あーいやだわ、私はみんなに挨拶にはいきたくないの」と、自分が選んだ人だけに挨拶をする。「この挨拶が終わったころにはみんなのバクテリアがほっぺたに着きまくりよ」と面白い。

 ようやく日が沈んできたかなーという頃、また庭に戻り、新婦のお父さんのスピーチやら、友人のスピーチやらと続き、モロッコの伝統である料理が3,4皿各テーブルに次から次へとスムースに出されていった。

 もうそろそろ食べれない、という頃、新郎新婦が蔵みたいなものの上に乗せられて運ばれてくる。ここからはダンスパーティーとなる。前回のシャーマの結婚式は、ザ・トラディショナルという感じだったが、今回はかなりフュージョンというか、ユニークだったと思う。前回はアルコールのサーブはいっさいなかったのだけれど、こちらはワインのみサーブされていた。何より花嫁さん方の友人や親族がアメリカ人だから、彼らへの配慮も大きいのだと思う。

 それから野外で行われていることから、音がうるさすぎる、という感覚もなく、疲れたらちょっと離れたところで座ってみていればいいというのもよかった。


 この後2次会があったのだが、私は疲れていたので、ダーリンを置いて、親せきの若い子たちに便乗して帰ることに。ブリティッシュエアウェイのグランドで働くヒンデュは、いつでも頼りがいのある頭がよくて素敵な女性。彼女は仕事でイギリスに行っていた帰りで、疲れていたのでどうしようか迷っていたけれど、ちょっと無理して出席したという。来てよかったわと言っていたけれど、次の日同僚からシフトの交換を頼まれて働くことになっているから帰ると言う事だった。「私の泊まる宿はあなたの帰り道ぞいかしら」ときいたらそうだという。「足を探している?もちろんよ」と快くオーファー。結局ダーリンも疲れていて一緒に帰ることになったのだった。

 助手席に私、後ろ席にダーリン。ずーと面白くて心地よい会話を続けてくれた。彼女は仕事の特権を使って(宿代の割引)よく旅行に行くという。一番遠かったのは南アメリカのカリブ系の場所だった。「わたしってどうもスペイン語を話すようなところに行くとスペイン人に見られて、フィリピンでも現地人とみられてみんな話しかけてくるの」国籍不明な容姿を持つ美しい女性は言う。たしかに、モロッコ人とは思われないかも。「でもね、笑って目が細くなると日本人にも見えるのよ」と笑って見せるお茶目。そして頭が切れる。というか、ボーとして生きられないのがモロッコなんだと思うけれど、会う親せきや家族の若者はみんなこのように、感心するほど明るくて歯切れがよくて、賢くて、そして美しい若い子たちばかりなのであった。

 帰りの飛行はモロッコから私一人なので、ダーリンはもちろん、それ以外の人にも、何か変な問題が空港で起こったら彼女に連絡するようにという。誰もが口をそろえて彼女のことをとても頼りがいのある人物だというのだ。日本にとても興味を持っていたから、その時何か私が役に立てればいいのだけれどと思ってやまない。

 写真上の左がヒンデュ、私、そしてシャーマ。なんか私、衣装も変な感じに映っているけど、まるで

美しい外国人選手に囲まれた伊藤みどり選手にみえる・・・・・。レイディーなのよねー、みんな。

 思ったより楽しい時間を過ごしたウェディングの一夜だった。

 素敵な年末を💛そしてまた来年も!