ロックフィッシュ:Rockfish

 紅葉がきれいなカルガリー。秋と言えば日本はサンマかな。

  魚の名前に関して、育ち柄、お寿司をカウンターで食べるという習慣も経験も子供のころからなかったし、釣り好きの父親がタイやナマズなど釣ってきてなんとなくこれがそうかという知識はあったものの、お魚大好きというわけでもなくて興味もなかった。しかし、NYで日本食のレストランのアルバイトをしている時、日本語のみならず、英語でもその魚の名前を覚えなくてはならず、とりあえずただ暗記して何とかメジャーな魚は覚えていた。

 そんな経験も、現在の生活ではあまり利用できず、魚と言えばSoleFish(カレイ),サーモン、Cod(タラ)、Snapper (タイ)、あとはツナぐらいしかスーパーでお目にかからない。冷凍となると中国とかアジアとかメキシコとかから来た魚でもっといろいろあるのだけれど、例えばイワシの缶詰ならまだしも、冷凍のイワシを買ってきて家で調理しよと思うと大変なことなので、ワンパターンの魚のメニューになっている。

 とそんなある日、Rockfishという名の魚が種類の少ないスーパーの魚コーナーに出てきた。いつものタイの代わりか、またはCodがないせいか、とりあえずかなりお安くならんでいる。見かけがタイに似ていたためとりあえず買って日本語では何という魚か調べる。メバルという魚の種類で、日本ではキンキ、メヌケと2種類があるそうな。さらに日本では「高級魚になりつつある魚」なんだそう。

 いやいや、お隣に置いてあるSoleと比べても、格安のお魚ですでにもう2度お買いあげ。調理法はこれまたワンパターンの小麦粉などをまぶしてバターでソテーするやつ。かなりおいしい💛臭みもないと思う。うーん、こういうラッキーなこともあるんだよなーと改めて思う。

 いわゆる何でも海のものを食べる日本人からみると、信じられないくらいよその国では価値を認識されておらずもったいないものがあったり、めちゃくちゃ安いお値段で売られていたり、と言う事はたまにある。カズノコや子持ち昆布などは、おとなりBCでは昔からあったけれど、その食べ方を知らず捨てられていたそうで、日本人が住むようになり売られるようになったとか。ウニは高級品だけれど(好き嫌いはあるだろうが)、モロッコではウニも海藻もうじゃうじゃあって食べ物という認識がないからその辺に転がっているだけだとか。

 これは以前もブログで書いたと思うけれど、スペインではマグロというのは特に高級魚扱いされないのだけれど、日本人がとても好きな魚で購入したがると言う事で、日本人に売る時は現地の価格の倍で売るという。それでも日本人は欲しがると地元に住む友人ホセが面白がって私に言う。ホセは真空パックにしてツナビジネスをしないかと持ち掛けてきたぐらいだったが。

 大変話はずれるが、前回話した聖書のバベルの塔に関連した箇所で、なぜ神は人間に腹を立てて違う言葉を話させて混乱させ、塔の完成をできなくしたかという理由について書いた。その後決定的な個所をゲーテ―の自伝から再度見つけたのだけれど、それにはこう書かれていた。ノアの箱舟のあと、残った人間を生かす条件として「幸福であると同時に賢明であり、多数であると同時に一致すると言う事はゆるされない」と、これが神が人間に定めたおきてだった。

 なるほどおもしろい。「イワンのバカ」というトルストイの作品があるが、イワンは小汚く単純で利口そうでないけれど、ゆえにたしか幸福だった(内容をすべて覚えていないが)。こういう解釈を考えると、本当にこの世の中は平和になるわけはなく、またそういう定めなんだとある意味ポジティブにも考えられる。たまに超幸福そうな家族なんか見ると、レアだよなと思うのだけれど、そんな私の見解もあまり間違っていないのではないかと思ってしまう。

 

 シーフードの話題に戻るけれど、知られてない時が仏であって、かつてアボガドがそうであったように、この地球上にあふれる人間の人口の数から、情報の伝達の速さや、旅行や移動の便利かつ容易性も含め、(あらゆる意味で)おいしい思いをしている人間がいてもそれは時間の問題で、あっという間にそれもつかの間になる時が来る、というのが運命か。

 えー、いやRockfish。このまま安価で売られているといいなという、そういう話なんだけれど。

 今週末はサンクスギビングデーで月曜日までお休みなので、我ら夫婦は冷凍のラムを解凍中。羊は時々飼っている農家を見るのだけれど、牛や鳥や豚ほどはメジャーじゃなくて、意外とローカルのフレッシュが手に入りにくく、そしてもちろんお安くはないと思う。が、やっぱりビーフと比べると断然おいしいのであった。特に煮込みが。皆さん、それぞれの10月を楽しく時にゆったり過ごしていますように。

 また一週間💛