京都:Kyoto

  京都の日程は2泊3日と短く、ノープランのままだった。

 ホテルはどこも大変混んでいて、やっと空いていたというホテルだったらしい。あまり知らないし、計画も立てていないから、とりあえず京都駅の近くと言う事でとってくれたホテル。SakuraTerraceというホテルで、決してお安いねだんではないものの、今まで泊まったホテルの中では私たちの評価は最下位。いや、悪いわけではなく必要なものはとりあえずあるので十分という言い方もできる。

 京都は駅を降りると観光客がわんさかいた。

 着いたその日は普通に街に出て買い物。そのあと友人の営む焼肉屋を調べて、夕飯はそこにしようと思ったのだけれど、着くとまだ開店前だった。「なにしてるのー!!ちょっと連絡してよ」と怒られたけれど、なにせ予定はその日に決まる私達、会えたらラッキーだめならしょうがないという感じだった。結局その日は予約がいっぱいと言う事で、次の日の夜に予約を入れてもらったのだけれど、友人、仕事が終わったら私の泊まるホテルまでタクシーでわざわざ来てくれたのだった。

 このホテル、ハッピーアワーがあって、冒頭の写真のラウンジで一人一杯までフリーのアルコールがサーブされ、コーヒー、紅茶などは飲み放題というのが夜11時ぐらいまであり、それはちょうどいいと友人に来てもらったのだけれど、なんと、予想以上に人がいっぱい。ものすごくはやっていた。

 食べ物を食べることはNGということで、おなかのすいている友人、この辺にレストランはない。しょうがなく近くのコンビニでパンを買ってきて、ちょびちょび遠慮しながらちぎって口に入れるしかなかった。うーん、これがカナダだったら、NGと言いながらちょっとぐらいはみんな平気で持ち込んでいるかもな。しかしここでは従業員の目が光っていた。こんなホテルあるかしらん。残念。

 とはいえ、あとは何ら問題もなく、チョー久しぶりの友人との話は尽きることなく、ラウンジが閉まる時間が来ても全然話したりなかった。この友人ともNYのレストランでバイトをしていた仲間で、彼女の夢は自分のお店を開くことだった。やっと京都の川沿いの素晴らしいロケーションに焼肉Shibataを開いたその年だか次の年にコロナ渦になった。

 翌日、早めの予約を取ってお店に訪れると、一等席を取ってくれていた。メニューはコースメニューのみで、まず普通に焼肉をする。そのあとはすき焼きかしゃぶしゃぶを選ぶことになっている。私たちはしゃぶしゃぶにした。肉、おいしすぎ❤牛タンなんて好きじゃないというダーリンも、あれ?おいしい、とペロリだった(Premium Wagyu Beef Shibataのサイト)。

 ほぼ一人でやりくりしている友人で、アルバイトの従業員を雇う苦労もいろいろ聞いた。現在続いて働いているのはハワイから来ている日系アメリカ人のとても人のよさそうな青年で、友人ととても良い関係を保っていて、雰囲気の良さが伝わる。面倒見の良い友人だから、なんだかんだアメリカから来ている彼を息子のように助けている所もあるに違いない。彼は日本語プラクティス中と言う事で、断然英語での説明のほうがナチュラルなので、これはダーリンにちょうどいいと、英語でお願いした。

 来客はやっぱり外国人が多いから、ちょっと英語ができてもやっぱり現地の人より、もともと英語をしゃべる人を雇ったほうがかなり言葉の問題では役に立ち、そしてまた長く続くと言う事だった。私たちの隣の席に後から来たお客さんは、日本人の女の子が2人の若い金髪の外国人を連れてきて、説明しながら楽しんでいたし、カウンター席もほぼ外国人。席は満席で、予約もこの後いっぱいと言う事。繁盛しているようで本当に何よりだった。

 実はこの日、京都見物をせずに琵琶湖へ日帰り旅行に行ったのだった。京都は少なくとも2回目で、私は行きたいところが特にないから、ここだけはダーリンが行きたいところを決めてね、と、投げやりにお願いしたこところ、あまり興味もないくせに、適当にネットでさがして清水寺とか出してきた。前日友人に伝えたら、「そんなとこ行くことないで。人いっぱいやで。」と言われ、「そうだよねー。」と私もいい気になって賛同。というわけで、ごめんダーリン、京都にいたのに何も京都を見ていないということになった。

  電車に乗ってのどかな景色を見ながら着いた近江高島駅琵琶湖周りを歩きながら白髪神社へ行く。国道を渡るのは危険だから避けるようにと言われながら、結局それしかなく、たどり着いた目的地。

 あの水の中にたたずむ有名な鳥居を浜辺から見るのではなくて、順番に高台みたいな所に上がってみるという形式になっていた。台の上は狭いので、登ってすぐ写真を撮っては降りるという観光客のそれに従ったあと、参拝へ向かった。

 ここへは紫式部がこの地を訪れたときに歌を詠み、その歌が書かれた石が上の方にあったり、歴史はいろいろ深いのだけれど、そんなことをダーリンに説明するとなると、紫式部が誰であったかとか、日本人にとってはどうのこうのという長い説明になるし、果たしてうまく説明できるかの自信もないので、ほぼ説明のないまま、ダーリンなりに楽しんでもらい、私も私なりに趣を味わっていた。

 この鳥居、そうとう夜景なんかも素敵で感動する場所であるはずなのだけれど、改めてどうしてこの鳥居が水の上にあるのかと聞かれて説明しようとすると、またしてもその感動も貴重さも薄れていく気がしてたまらない。日本人にとっては鳥居は珍しい物でもなく、それでいてカルチャー的にも神社にまつわる神聖なものだということは知っているので、「あら素敵」と自然に思うと思うのだけれど、それに親しみのないダーリンのような人がただ来て見せられて、どれだけ感動したかは全く知る由もない。「どうしてあれが水の中なの」と案の定聞かれ、「そこがポイントなのよ。自分で調べて」と、いかにも雑にあしらってしまったが、それは上に描いたような複雑な私の思いのせいでもあった。

 これが、私たち京都に行った時の旅の思い出となる。今思えば、京都内でもハイキングがてら歩いて素敵なところもあったろうに、わざわざ滋賀まで行ってしまったという気もしないでもないけれど、友人と会えたことはひそかな私の、そして大きな喜びとなった。

 この後は海老名に帰って観光はできればしないでゆっくりしたいと新幹線にのる。

 また一週間💛