コンマリさん:Marie Kondo

  珍しく「予定が詰まった」一週間でブログアップデートに遅れたけれど、今回は、週末のピラティスの指導をしにカルガリーへ向かう中、運転中に聞こえてくるラジオのトピックが近藤マリエさんだったので彼女のことを。

 メディアはなんでも初めのうちは良いネタになるから良く取り上げるけれど、その人が有名になればなるほど、そして稼げば稼ぐほど、今度は批判を流すのが常だから、またどんな編集をされているのか興味深く耳を傾けていた。というわけで、本日はマリエ・コンドウさん(私は大好き)について私の感じることをつづってみようと思う。

 「マリエ・コンドウのメソッドには私はあまり共感できないわ。すごく削除することにフォーカスしているから。削除することが大事ではなくて・・・・・」というようなコメント。「クリーンにしていることをすごくストイックに考えているメソッドだけど、初めは私もやってみて気持ちがいいと思ったの。でもやっぱり散らかることも生活の一部で、あんなにストイックにいたら余計にストレスになるわ。」とか。あまり詳細は覚えてないのだけれど、すごくいい!というコメントで編集された内容ではなかったのは明らかであった。もちろんそういう意見もあるはずであろうに。

 まず、日本人でこんなに海外で有名になり、それでいてちっとも嫌みのない彼女はすごいし、実際うれしいとさえ思った。そのうえで、片づけ方を教えるということが職になるというのは私には新しく、だけれども誰もができるのではなくて、近藤マリエさんにある何かプラスアルファ―がここまで有名にし、ここまでお稼ぎになれるのだろうと思っている。

 それにしても、こんまりメソッドというのはかなり日本のカルチャー的な要素を抜きには考えられないと私は思う。コンセプトがやっぱり禅とか神道とかとつながってしまうのは私だけだろうか。日本人にはスペースを保つということは美徳であり、風水なんかも加わって、家や身の回りをきれいにすることは良い運気につながる、ということは、多くの日本人にとって何の抵抗もなく受け入れられる事柄なのではないかと思う。それを実行しているかしていないかは別としても。

 それに比べて北米の文化は違っているから、根本的に文化や習慣的な背景を抜きにこのメソッドを考えたり受け入れたり、批判したりすることは無理なのではないか、というのが私の考えになる。私の考えというのもおこがましいほど、そう思う人は少なくないのかもしれないとも思う。

 そしてもう一つ、これはこんまりさんも何かで言っていたと思うのだけれど、決してミニマリストを進めているわけではないということ。ときめく物を身の回りにおいて生活しましょう、というだけで、モノを少なく持ちましょうとは一言も言っていない。けれど、この辺がいつも歯がゆい境界線で、割とミニマリスト的に取られて批判されていると思う。

 「私は反対ね。こんなにいっぱい服も持っていてごちゃごちゃしているけれど、すべて私には思い出もありストーリーもあり宝物よ。」という批判の記事をガーディアンのウェブのページで見た。「だから、ときめくならすべて持ってればいいんだってば」、と声をあげたくなる記事だった。

 ただし、そんなに素敵な物たちならば、もっと敬意をもって扱ってあげて保管してあげましょうよ、というところは、削除の仕方の次に大事な、どうやって片付けるかというポイントだと思う。そしてこのものの扱いこそが神道や、あらゆる「道」がつくお作法とかを思い出してしまうのだ。

 それからクリーニング、つまり掃除の仕方とは区別が必要だと思う。英語でHow to cleanと彼女のメソッドをくくられると、どうもしっくりこない。こんまりさんはいわゆるお掃除の仕方を教えているのではない。やっぱり、どうしたら美しいと思うものを美しくその空間に置くことができるかとか、その美しい物から最大限のエネルギーをもらうにはどうやってそれを扱って、または敬意をもって収納し、どうやって日々過ごしていけばいいのか、と言う事に尽きていると思う。だいたい日本人は小学校で自分たちの身の回りは自分で掃除をするということを教えられてきた。そこからして、お掃除のカルチャー、しつけ、道徳が北米にはないものであると思う。それなのに、よくここまで受け入れられたものだという驚きも正直あるのだけれど。

 私はこんまりさんが通訳を使ってアメリカのメディアに出るのを見るのがうれしい。最近はだいぶ英語もお勉強されているということだけれど、大きな雑誌のインタビューや取材には、どうぞ通訳を使い続けてほしい。彼女が言わんとすることはものすごく奥が深いと思うから、そういうことを片言の英語で伝えてしまうのはもったいない。それだけではなく、生粋の日本人の代表として日本語で美しく話してくれているほうが、北米人に対して私は誇りに思うし優越感さえ感じる。

 まずは北米のみんなが聞くラジオで普通に取り上げられている所からして異例なことだし素晴らしいこと。海外に住む日本人としては、どうしても「日本人として誇りに思えるような行動となりふりを普段からしていなくては」という、日本代表的な気分になるのは私だけではないと思うので、そういう中でこんまりさんみたいな方が有名になってくれるのは本当にうれしいことだ。

 これからもあることないこと言われるかもしれないけれど、持ち前の明るさとときめきで、そんなものはくるくるっと杖で飛ばしていただきたい、という応援歌で本日は終わりたい。

 また一週間💛