その昔、ニューヨークのジュ―イッシュアメリカン歯医者のもとで働いていたことをいつかのブログで話したと思う。そのドクターは、アッパークラスというか、かなり独特の趣味とこだわりを実現してウエストチェスターで暮らしていたのだけれど、もちろんよい生活はしているのだけれど、かなりハードワーカーで努力家、情熱家、自信家であった。
若かった自分は全くドクターに共感するところがなく、それどころか嫌悪感をかんじていた。そのドクターとの会話で覚えているのは、私が「人生は思うようにはいかないじゃないですか」と言った時のことだった。ドクターが「え?」というような顔をしてすぐに「何言っているんだい、人生は思うようにいくんだよ。」と言った。その時の私は、「なんて傲慢でおごっている人なんだろう」と思い、ますます共感できなかった。
しかし今思えば、ドクターの言うとおりと思える。すべては自分の思い次第と言う事を。いろんなことが今思うと、どうして私はこういう考えをしいて、それが「正しい」みたいな思い込みで長い間いたんだろうと思う。早くから自分のしたいことをわかっている人、それに向かって苦とは思っていない、けれどものすごい努力をしている。そういう人に出会っていたことを今はただ感謝すべきだろう。
施設の職場では、従業員や職員は私より若い人が多いのも、ジェネレーションの違いや、カルチャーの違いなどを含めていろいろな刺激となっていると思う。先日、パートナーのTA(セラピーアシスタント)と私で、アドミニストレーターにミーティングを申し出ることを決めた。今起きているOT(作業療法士)デパートメントのチームの葛藤を話すことに。前回ちょっとふれたように、週に一回私たち2人(TA)とOT、そしてアドミニストレーターの4人でミーティングをしているのだけれど、その場所では伝えられない私たちの本音みたいなものを伝えて、このミーティングは意味があるのか検討したいという気持ちで。
アドミニストレーターの彼女は30歳半ばになるかならないかの若い女性なのだけれど、私たちの言い分も最後まで聞き、私達とその場にいないOTの両方に言葉と扱いの配慮のある内容で、迷うこともなく「こうしてみてはどうか」という提案をしてくれた。
その提案とは、「デパートメントノーム」だったか「チームノーム」だったか、とにかくチーム内でエチケットとして守ること、みたいなリストを週一回のミーティングの中で作り上げていく、というものだった。
ちょっとこのアドミニストレーターのことに触れると、彼女はもともとナースであり、ケアーサービスマネージャーというポジション(今のポジションの下になる)に着き、私が入った時はそのマネージャーのポジションにいた。その時から彼女のリーダーシップは裁きの良い物であった。OTデパートメントの隣のRT(リクリエーション)デパートメントの責任者である男性とは夫婦関係。二人の間に小さい女の子が一人と、前の旦那さんとの間の子供がいる。セントバーナードをかっていて、時々その犬も一緒に出勤してくる。そして2019年ごろだったか、今のポジションに着いた。
内容が一人の人間の人格に触れるようなことだったために、私達もどう話していけばいいのか、言葉を選びながら、そして相談しにくい内容ではあるのだけれど、という前置きをして心を開いて話してみると、実は彼女も私たちが話す前からそういうことは感じていて半ば分かっていたと言ってくれた。なにせOTとの付き合いは私たちのだれよりも長く、OTと接する機会は私達とは違う面からだけれど、やはり多い。だからこそ週一回のミーティングで自分が入ることで助けたいと思っているから、これからもそのミーティングは続けると。
うーん、迷いがない人で、非常に何をしたいかビジョンがあると思う。そしてほかにも山ほど仕事がある中で、施設内のこういった人間関係のいざこざはあっちもこっちもしょっちゅうであり、そのたびに彼女は時間を割いて中立に入る。あっぱれである。一つまた見習う人の存在である。もちろん彼女だって完ぺきではなく、私は今まで、なんてコミュニケーションが難しい人だと思っていたし、たまに夫婦間の喧嘩の最中というのもあるようで、そういう噂のキャッチングに疎い私にパートナーが「今日はね、あの二人喧嘩中なんだって」と教えてくれたりする。
ちなみに、どうしていつも、私はそういううわさ話に疎いのかが最近分かった気がする。それは、ネットワークの狭さ。情報キャッチの早い人は、何気にあっちもこっちもひそかなネットワークがあって、テキストで情報をシェアしている。または一緒に休憩を何かしらでとっていたりと、とにかくいつの間にかウェブが広がっているのであった。
それに比べて私は、仕事中は携帯を見る習慣がない。いや、もともとテキストをくれるという友人がいないせいか、見る必要がない。休憩時間はひとりで散歩とか、以前は家に帰って昼食を取ってすぐ帰ってくるとか、そんなことをしているから広がるわけはないのであった。
秋深まる、というよりそろそろ散ってきている中、いろいろ整理したり、考えたり、味わったりするのにとてもいい環境にいる。というのは今月いっぱいダーリンが帰郷中。そう、一人の空間を味わっているのだった。
また一週間💛