誰にでもあること:Happens To Anyone

 写真はNational Indigenous Peoples Dayという日があって、施設にダンサーたちがやってきて、そのパフォーマンスの様子。かわいい男の子はパフォーマンス予定だったと思うのだけれど、大勢のレジデントさんたちの前に出たら、ママから離れられなくなってしまって、最後は奥に走って逃げてしまった。左奥後ろでは輪になって太鼓をたたく人々。この太鼓に合わせて踊る。とってもとっても素晴らしくて、それぞれの衣装や踊りに意味やテーマがあっていつ見ても見ごたえがあり、太鼓のバイブレーションが響く。

  さて話は変わる。夢見がちなところがあるから、こんなチャンネルを見てどうするとダーリンには思われていると思うけれど、たまに見ているチャンネルがKylie Flavellというオーストラリア人のチャンネル。イタリアに住む夢を実現し、トスカニーでコッテージのリノベーションを始め、とても喜んでいた矢先のことだった。

 10か月前に倹約を結んだローカルの若い、けれど高いスキルを持った男性が住み込みでリノベーションの仕事にかかわっていたのだけれど、突然、かなり高い金額の要求をしてきて、その後ポーンといなくなってしまったという話。

 動画では、「イタリアでは90パーセントの仕事をしたら支払金の値上げを要求するか、もっと高い支払いのある仕事に移るかのどっちかだ」とか「イタリアではコントラクト(倹約書)は何の意味もないから、それよりもよく知っている人を雇う」とか、それでも問題が起こるというようなことをイタリア人のハズバンドが説明する。たとえ倹約にサインをしたと言って法律家を立てて訴えたとしても、なんだかんだですべてお金も戻ってくるには平均で12-15年、長ければ20年かかるという。(興味のある方はこちら

 半ばこの動画を見せながらダーリンと話していると、メディトレニアン付近の文化というのはそういうものだと冷静に言う。カナダにいて「どうしてこうかなー」と思うことは多々あるけれど、「アングロサクソン文化はまだルールに従える傾向にある」とダーリン。イタリアもモロッコも、まあ似たようなところ。それに比べたらカナダは全然いいほうだと。

 例えばモロッコ。ダーリンのお母さんは認知症でずっと家にいるので、ケアーヘルパー兼その家の食事を作ったり掃除をしたり、いろいろ一切を手伝ったりする人を雇っている。ところが、もし近所で「あの家のヘルパーはよさげだ」と目を付けれたら、もっといいお給料を払うからうちに来ないか、とその人を持っていかれる。ダーリンのご両親の家も2度やられたという。それでなくてもいろいろあって、なかなか専属でずーっと働いてくれる人を見つけるのが難しいというのに。

 プラマーとかペインターとか、家に関するカーペンター系の仕事人は本当に需要が高いのに注意が必要で、きちっと最後まで終わらせる人はまれだから、ダーリンも小さいころ、父親が雇ったペンキ塗りの職人が仕事を終わるのを見張る役をやらされたという。でないと適当にやってたりどこかへ行ったりすると。決して先払いはしてはいけないという。

 まったく、日本という国は契約関係のことについてはストレスの少ない国で、住まなければこのすごさは分からないだろうと思うけれど、住んでいる外国人は絶対に感じていることだろう。日本の良さを知らないカナダ人とかに会うと、それはそれでひそかに安心している。ただでさえ人口密度が世界で3本の指に入る高い国なわけで、どうかあまり増えすぎませんように、と勝手ながら思うわけだ。

 それにしても、何か次の大きなレベルに上がる時や変化がある時は、必ずと言っていいほど意気消沈するような事柄が起こるというから、きっとKylie Flavellという人も、この後思いもかけない展開が待っているに違いない、と思っている。それでもちろん2,3週間たった今ではゆっくりだけれどやっぱりリノベーションを進めている動画を出している。そう、どうにかならない人というのは世の中にいない、と信じる。そして上がるステップが高い人ほど打撃は大きいものが多いというし。それに比べたら(比べることに意味はないけれど)自分の人生はなんて凡庸で幸せな日常か。

 そういうことで、また一週間💛