朝。写真ではわかりずらいかな、空が淡いラベンダー色でうっとりした。
本日はデパコスを買いに行った時のお話にしようと思う。
Shephoraという、ビューティー系のお店でいろいろテスターを試しながら選べるようなお店を知っている人は知っていると思う。そこに目当ての物がなくて、いわゆる資生堂、Dior、イブサンローラン、ランコムなどブースになって分かれているデパートに行ったのだった。なんとなくいろいろ見てみたいときにはこのブース系の店は入りずらいが、絶対買うと確信のある時はまあいいかな、と勇気をもって。やっぱり店員の態度とか接近加減とかはかなり気になるもの。
入ったそのブース店には先客が一人いて、楽しそうに話している60代か70代近くに見える女性がいた。店員が私に気づき、「すぐにそちらに行きますからねー。」みたいに言って、丁寧に先客と付き合ってから私のほうに来た。ちょっと外国語のアクセントがある愛想がよくてしつこすぎない感じの中年の女性だった。頼んだ種類の口紅を出してくれて私があれこれ手の甲に試していると、彼女が横からぼやくように、「あー、彼女ったら(先客のこと）1時間もここで話していて、何を買うわけではないのだけれど、帰り際私に10ドル渡そうとするのよ。ここはレストランではないし、もらうわけにはいかないんですって言って断ったんだけれど。毎日のように来るの。でもね、まあ彼女、とても明るくてあのお年で(人生を）楽しんでいるのが伝わるから、それは彼女の素敵な面だと思っているけれどね」と。
「ほんとに、楽しそうでしたよね」と相づちをしながら笑って聞いていたが、「あー、やっぱりいるんだなそういう人」と、ある経験を思い出していた。どっかで書いた気がするがもう一度。むかーしむかし、デパートのサービスコーナーでアルバイトをしていた時のことだった。定年後やることがないお年ごろのある高齢の男性が、ほぼ毎日デパートに来る。何をしに来ているのか不明だったが、とにかく来るたびに、自動販売機からたくさんの缶ジュースやお茶などを買っては、サービスコーナーの女性店員たちにどうぞとおいていく。見る限りでは、多少の社交をしにデパートに来ては誰かと話をし、まあ士気高く楽しみを見つけて毎日過ごしているという感じはした。
年を増すほど、誰かと話をすると言う事が実はとても大事なことなのかなと思うので、先ほどの化粧品屋に居座る女性も、自らアクティブに人の迷惑にならない程度にそれなりに分を見極めデパートの暇そうな店員と話をしたりするのは、その人の精神衛生を保つのにはとてもいいことなのだろう。
この店員の女性も、気取りなく、まるで前から知っていたかのような感覚で接してくれていて、一応新商品も説明してくれたけれど、押し売りという感じはなかった。そして「私はいつも自分に新しいものを一つ買うようにしているのよ。」と言った。楽しみ方というか、自分のご機嫌の取り方を知っている人なんだな、という印象を受けた。なるほど、先ほどの常連居座り女性がここに来るのもわからないでもない。私も、また口紅が欲しい時は、ほかに同じ店はそこら中にあるけれど、ここに買いに来た方が気持ちがいいなと思った。
My Dearとか言って接してくれたけれど、私と年齢はそれほど変わらないのではないかと思っている。違っていても5歳とか7歳とか上ぐらいかと。きれいなものとか良いものが好きで、すべて買うことはできなくても、できればそういうものに囲まれて過ごせたらいいという感覚とか、その人の内にある品というのもはどこか伝わってくる。それから、つべこべ言わずに仕事があることを感謝し楽しみを見つけながら、仕事の内容が何だろうと毎日こなすという人々を見ると尊敬する。
買った口紅は、いわゆる落ちづらい口紅で、化粧もろくにする方でない私は、ことに口紅だけは、インストラクターという職に就いてからはほとんどつけないできたこの人生なのだけれど、そろそろ何かしようとちょっと気分が変わった。仕事上よくしゃべることが多いので、この口紅なら機能的に使えるだろう、と思っているのだけれど。
そして買ったものはクライアントGにすぐ報告する。Gは、自粛期間中、たくさんのコスメ用品を買ってしまったという。本当につけてどこかへ行く当てもないのに。要するにプチディプレッションであったのだけれど、こないだ使わないものはすべて処分したと言う。私にも何かいるかと聞いてくれけれど、化粧品に関してはほぼほしいものはないとお断りした。買った口紅を見せると、二人とも会話が華やぎ女子トークというか、女子ムードの楽しいひと時を感じる。
ファッション、コスメ、香水などなど、これらの業界は女性の物欲を揺さぶる魔力ともいえるけれど、これでまあまあたまに奮発していい気分になって、ちょっとでも明るく楽しくいれるなら、いいんじゃないのーと思う。ことに、自分で稼いだお金で買っている以上、誰に何と言われるわけでもない。
また一週間💛