ロンドンと言えば劇場が盛んだから行けばいいものの、カナダに帰国してからすぐに「Kim's Convinience」というTVのコメディーショウでおなじみのストーリの劇があって、タイミングが良くダーリンが不在というチャンスを使って行ってみた。
日曜のマチネだったが、来ている客のマジョリティーは年配のカップルというか、ちょっとしたコミュニティーというか、そういう雰囲気もあったし、昔カンザス州に留学中経験したシアター好きの人々の独特の雰囲気という感覚を思い出させた。それは、NYのブロードウェイを見に来る人々の雰囲気とは違って、うーん、なんというかやっぱり「ある種のコミュニティーという感じ」としか語彙力のない私には言い表せられない。
とにかく席を確認して入った。まあまあ人が入っている。3席あるうちの端一席に座ると、隣の年配の女性が、本当にびっくりした顔をして私を見た。「え?いや、ここわたしの席だし・・・」と思ったほどで、なぜか「エックスキューズミー」と言って座った。隣に人が来るとは思っていなかったか、まさかこの会場では珍しいアジア人の女が一人で座るのに意外過ぎてびっくりしたのか。
それで、そこに座ってしばらく舞台を観察していると、決定的なことに気づいた。その席の延長線上に柱があって、私の視界からだと舞台の光景が柱を境に真っ二つに分かれて見えるのだった (冒頭写真)。
はじめはまあいいかと思ったのだけれど、やっぱりあまりよろしくないなあと思い、アッシャーをしている女性に、柱があってみずらいので、時々後ろに立ちに行って見てもよいかと聞いた。それでは演技する役者たちに影響を与えるかもしれないので、マネージャーに言ってほかの席を探してあげる、と受け継いでくれた。
マネージャーが直々に来て、この席へどうぞと案内されたとき、別の年配女性が同時に来て私の右隣に座って、またもやびっくりした顔で、しかし今度は不快感満載で私を見て「ここは私の夫の席よ」と言った。「いや、今マネージャーから案内されたんだけど。」というとさらに憤慨して「No!この席は予約済みよ。私の夫が座るの」とものすごい勢いでかかってきた。「Okay,okay」と、半ばそんないい方しなくてもいいのに、と思いながら、またアッシャーのほうへ行って事情を説明。「Oh no.」と彼女も言って、もう一度マネージャーに確認しに行ってくれて、最終的には前方の席に座らせてくれた。
いろんなことが日本のようにスムーズにいかない国にいると、事あるごとにああいう態度を取らざるを得なくなっていく生活というのは分かるけど、本当にそういうことが習慣化されると、日本人の丁寧さや礼儀のある態度とはかけ離れて、非常にルードになっていくのが普通になるよなーと、何とか起きたことを消化。それでも多少、泥水のしぶきを浴びたようなショッキングなドキドキはあったことは白状しよう。もー、おばちゃんパワーがすごすぎ・・・。
劇は、笑いあり涙ありで、会場から鼻をすする音も時々聞こえていた。後ろの娘さんと来ている親子の母親も例外ではなかったが、15歳ぐらいの娘さんが「ママ泣いてるの?」とびっくりして聞ていた。
思いのほか楽しい演劇であったので、もっとこの劇場に慣れるべきで、もうちょっと頻繁に来れるといいな、と思った。はじめの席の番号は二度と取らないように忘れまい、と、ちゃんとチケットも写真にとって。
実はこの日、もっと衝撃的な事件がこの劇場内で私に起こったのだけれど、それだけはちょっとこの場を使って公表する勇気がない。このブログを読んでくれている大好きな友人に、もしも興味があっていつか聞いてくれたら、その時はこっそりとネタを話そうと思っている。なんにしても、劇の始める前にほんとにショッキングなことが続いて、まるで、何かにいたずらされているのかと思った。今となっては話のネタになって面白いと思えるけれど。今度はどんな劇を見れるだろう。
また一週間💛