寒さもまあまあ落ち着いて、今年は雪が少ないと農家のことを思って言う人が多い地元の人たちだけれど、私にしたらありがたい年だ。もちろんまだまだ雪が降る日の可能性は存分にあるのだけれど。
さて、最近の中国の調べでは、コロナにかかった人のその後の経緯を追った結果、認知症になる確率が多いということだそうだ。このコロナは、ただ単に肺に影響を与えるとかだけではなく、体のあらゆるシステムを犯す、やっぱり怖いものだった。
認知症になったら、「病気はしょうがなくても、そっちは勘弁してほしい。さっさと行きたい。」というのはごもっともな自然な要望だろう。そのほかの進行性の病気など、やはり苦しんでいる人やその家族を思うと、カナダでは合法となった安楽死もただ単に反対はできない。とはいえ、ものすごく細かい書類審査があるようで、そうそう簡単に誰でもできるわけではないというのが今のところのステータスのようだけれど。
施設での作業療法士アシスタント(OTA)の仕事は、ヘルスケアエイド(HCA)の仕事に比べたら、全然楽な仕事内容だと思っている。HCAというのは、日本で言うとなんだろう。ナースの一種なんだろうけれど、こちらのシステムと日本のシステムは結構違いがありそうだ。まあとにかく、OTAの仕事でいろいろな方々と接しながら、素晴らしい生き方や、ご家族の姿を見ることができるというのは恵まれたことだと思う。
たいていのレジデントの方々は、家族に説得されてとか、言い方は悪いけれど半分騙されて「入れられた」ような形で、また、認知症の方に関してはやむを得ず家族の判断のみでそこに入居している。特に女性に多いのだけれど、だいたいが「家に帰りたい」というのが口癖で、時にどうしようもない行動に出る。そんな中、たった一人100歳の素敵な女性がいて、彼女は自ら決意し「受け入れる」ということをしている人がいることは、このブログでも時々書いた。
認知症の方々のいるユニットは、”I love you”を連発している方や(これは本当にかわいい)、「ダダダダダダダダ」と言葉にならない声を出している方、泣き出している方、まあいろいろなわけだけれど、私がセッションをしている方の一人の旦那様は、毎日施設の奥様に会いに来て、「ハーイ、ビューティフル」といって唇にキスをする。セッションは旦那様も一緒に手伝って、車いすから立ちあがることと、そこから歩くことが内容となっているのだけれど、この立ち上がるという動作がかなり大腸を刺激するようで、粗相につながるのは珍しくない。彼女の場合も毎回セッションを始めてすぐに、「おむつの取り換え」が必要になる。HCAが手が空いていればすぐに取り換えられるけれど、そうでない場合、彼女のイライラソワソワレベルに共うけれど、そのままでセッションを続ける。世の男性は、匂う妻なんて想像もできないという人もいるかもしれないけれど、この旦那様は、いつも彼女を気遣い、どうすれば彼女が落ち着くかとか、あれこれ提案しながら午後の時間を彼女と過ごす。
認知症で新たに入居してきた男性の奥様は、一人用の狭いベッドだけれど、一緒に後ろから包むように抱いてあげながら添い寝してあげている。もちろんお昼間の面会時間内に。また、体に支障のない認知症の男性のレジデントさんの奥様は、こないだソファーに座る旦那様の膝の上に載って、二人でチューチューキスをしたり抱き合ったりしていた。どんなにパートナーが今までと違った姿になったとしても、それから施設での入浴は週に2回しかないとしても、彼らにしたら、愛おしくいつものパートナーなわけで、愛する一人の人間としてしか見ていない。そういう家族やパートナーの姿がいつもではないにしても、このような光景に会うと、これも(認知症)人間のある自然の姿なのかもしれない、と思わされる。そうすると、生前本人が家族のためを思って安楽死を望んでいたとしても、パートナーにとっての幸せというのは必ずしも同じではない。
とにかく、いろいろな模様を見せてもらい学び、思う。誰もが望んだ施設での生活ではないとしても、寂しい思いをしない人はいない場所だとしても、これも受け入れることができるほうがやっぱりよさそうだ。
また一週間💛