寒波の生活ーA Life In Extreme Cold

  写真はコヨーテ。凍った川の上でじっとしているから、きっと魚でもとらえようと待っているのではと思った。

 さて、カナダに住んで私は10年近く、ダーリンはもっとになる。まだまだこのマイナス30度以下になる寒さの中で起こる車でのアクシデントについては二人とも無知で、何かあるたびに、カナダ人のヘルプがさっと手を貸してくれている。今回もそんな天使のような、びっくりするような、ありがたーい、でもラッキーだったというお話。

 ある日の夕方、いつもは私よりも早く仕事から帰ってきているダーリンなのに、珍しく遅い。やっと帰ってきたと思ったら、仕事場のパーキングに止めた車のエンジンがかからなくなって歩いて帰ってきたという。この時すでに外はマイナス26度以下。私の車とて、仕事が終わってエンジンをかけたあと(かかった)、ブレーキをならしてから道に出ないと凍ってブレーキが踏めないというのが常。

 車のバッテリーが故障したとき、ジャンプスタートと言うらしいが、ほかのバッテリーの力を借りてエンジンをかける必要がある。こんなことは初めてだけど、だいたいなんでもDIYで解決するダーリンはYoutubeで調べる。

 だいたい分かったというので、私の車でダーリンの車を止めてあるところまで行く。幸い、家から車で5分程度の場所で勤務しているダーリン。さっそくYoutubeで習った通り、私の車のバッテリーと彼のバッテリーをつなげて、私の車の中でエンジンをかけて15分待つことになった。よし、寒いけど、まあ防寒もしてきたし、仕方ない待とうと心を決めたその時。

 1分も待たないうちに、作業服を着た若い男性がスペアーのバッテリーを手に私たちの視界に現れた。「これが必要だね?」といって、ダーリンの自己流でやっていたやり方を見て、「まず、ここは絶対にこれにつなげてはだめだよ」というアドバイスをくれ、大きなクリップみたいなものでマイナスとプラスの位置にはめてから(よく説明できなくて失敬)「エンジンをかけてみて」とダーリンに。なんのこともなく30秒もかからずダーリンの車のンエンジンがかかったわけだ。

 町にはBig Hill Towing カンパニーというのがあって、こういう寒い気候で止まってしまった車、タイヤが滑って溝にはまった車、などなどを救助する会社なのだけれど、たまたま困っている人がいないかと回っていたという。この時の私たちの驚きと感動と言ったらない。素晴らしーい!!!

 エンジンがかかった後は「だいたい15分から20分ぐらい車のエンジンをかけっぱなしにするんだけれど、今日みたいな寒い日は30分ぐらいをお勧めするよ」といって、特にチャージすることもなく、やることが終わったらさっと去ってしまった。私は安心して家路へ。ダーリンはその辺を回って車を走らせ続けることにした。

 それにしても、わが愛車も中古で購入しているので15年のねんきは入っている。家から遠いところに駐車して帰りエンジンがかからないとなったら最悪だよな、と不安がよぎる。まずは何が起きてもいいように、いつもガソリンを満タンにしていること。防寒して(または用意して)車に乗っていること。念のため食料もあったほうがいい。ホッカイロなんかもあったほうがいいかも(何度も使えるジェリーみたいなのでできたホッカイロを車に入れておいて、今回ダーリンのかじかんだ手を温めようとみたらなんと、凍っていて使い物にならなかった)。スコップ(雪にはまった時にその雪をかきだす用)はいつも積んである。もちろん念のため、CAAという車のアシスタントをしてくれるメンバーシップも毎月支払っているから、いざというときはそこに電話をするわけだけれど、気候や道が悪いというときは、そいう言う助船でさえもなかなかたどり着かなかったり、事故が多くて忙しいということだってある。やっぱりここの生活はタフでなくてはやっていけないが、それでも比較的雪や寒波に慣れている州で、いろいろなことが素晴らしいと改めて思った出来事だった。

 クリスマス前から続いていた大変な寒波はこの月曜日には和らぎ、天気予報では0度より上がる日々がつづく。いやほんとうに、春に感じるに違いない。

また一週間💛